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静かに生きるものは、よりよく食べる。

 まずは何より、装丁がすばらしいですね。
瀬尾まいこ『卵の緒』は文庫本は中古だとAmazonで一円とかで買えますが、単行本のデザインのほうが個人的にはかなり好きです。

 さて、瀬尾まいこさんのデビュー作であるこの本をはじめとして、彼女の書くお話には"食"のシーンが多数登場します。
食べ物を食べているシーン、食事シーンが多く、尚且つ印象的なのです。
端的に言えば、物語の登場人物は、実に美味そうなものを、美味そうに食べる。
もちろん物語の大筋には起承転結があり、事件、ないし展開は起こるものの、それよりも食べ物のシーンや、毎日を淡々と、静かに過ごす様子がすがすがしく描かれています。

 「静か」に生きる、ということは、周りから常に押し寄せるノイズから、気持ちを解いておくこと。
すなわち、目の前のことに一生懸命になればいい。
瀬尾さんの本の中では、それがご飯、というわけです。
この本に収録されているお話「卵の緒」、「7's blood」、どちらも両親、兄弟、家族の"血"が問題になっており、ストーリー設定だけ見ればちょっと軽めの昼ドラのそれと大差ないような感じすらありますが、このゆるやかさ、優しさはどうでしょうか。
日々何かに気を取られていては取りこぼしてしまう、「食べることは、生きること」という当たり前のことを、自然に、かつ真剣に実践するだけで、なんだか「静か」でいられるような気がします。






瀬尾まいこ『卵の緒』
マガジンハウス 2002年
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